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仔にゃんこ物語(笑)
「…こりゃまたエライ拾いもんしてきたね」
「元の場所に返して来いとも言いづらいなこれは」
「…いいよね? 俺拾ったんだもん、俺のだよね?」
「…医者と薬は常備だけどな」(と言うなし崩しで親父は医者です;)
「ちゃんと面倒見るからっ」
「……まず風呂入って来い…」
願うまでもなく与えられる生活で、お兄ちゃんsにべた可愛がりされて育っていて、
コレも結局のとこはお兄ちゃんsが手配してくれるんだろなと言う感じですが。
世話されまくりで世話したい欲求が溜まってた模様(笑)と言う妄想。
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「いーんだ? 一緒で」
「どう見ても浮浪児っしょ?」
「あそこまで傷だらけで汚れてたら同じだろう」
「ん? 紅兄?」
「…警察…」
「えっ?!」
「親が捜してるかも知れないだろう」
「…せいせいしてるかもよ?」
「その方が助かるな…」
「あー…まぁねぇ…」
「良いんだ?」
「良いも悪いも、灯のすることにオヤジが逆らえるか」
「…そらそーだ」×4
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大掃除?
「まぁまぁまぁっ、どうなさったんですかこれは?!」
「あー、いやぁ、まぁなんつーか…」
「いいよ、俺等やるからさ」
「とんでもございません! ほらほらほら、モップをお貸し下さい!」
「…あー、御免、下手くそだね俺」
「蒼さまは向こう、まずその服を洗い場に!」
「へぃへぃ」
「千種さまも!」
「へーい、邪魔だね、ごめん」
「俺は手伝うよ」
「珊瑚さま…」
「っ、俺は引っ込んでますっ、はい、ごめん〜っ」
「紅さまは?」
「兄さんは灯とあの仔の治療中…」
「…はぁ…」
「…口移し、ですか…」
「全然食べないんだもんよ」
「灯があんだけキレたの初めてだなー」
「あのキレ方はちょっとなー」
「日頃温和な方ですからねぇ…」
「…ま、あんだけ逆らえるんだから、元気なんぢゃね?」
「…多分ね…」
「……ガキって…何すっか解んねーのな…」
「承和に言われてもな…」
「って何だよ〜千種っ」
「父さん、検査結果見せてくれた?」
「特に異常なし、極度の栄養不足と擦過傷と軽度打撲」
「怒んないんだ?」
「灯は反省してるんだろ、相手は自分より幼い」
「…御免なさい…」
「謝る相手が違う」
「…ごめん…」
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名前ない頃 服は着せられました。最初ダケはアニキのお古。
まだ色々なことにびくびくで
なんだろー?どーしたんだろー?な感じ。
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「え、ソレ着せるの?」
「そうですよ、灯さまの着てらした服です」
「えっ、かわいくないよ!」
「灯さま…少しお直ししますから」
「ねぇ、ここ摘んで? 襟変えようよ、こっちの色がいいな」
「はいはい」
「…後で買いに行こう? ミモザ通りの端っこの店!
かわいいよ、そっちのが絶対似合う!」
「灯…着せ替え人形じゃないぞ…」
「え? 人形じゃないよ? 温かいし、もっとかわいい!」
「……つかさぁ…灯って自分はなんでも良いくせに、
拘るぢゃん?」
「…だね…よっぽどかわいいんだなぁ…」
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誰が誰やら学生時代。
上から、長兄、紅(コウ)
蒼(アオイ)
千種(チグサ)
珊瑚(サンゴ)
承和(ソガ)
微妙な身長差と表情の違い、私服の違い程度で…。
髪型変えてもつむじが一緒〜。
アニキの名前がベタに「灯」ヒカル。
多分左から千種・紅・承和・珊瑚奥はママ。
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「ところでいい加減名前ないと」
「呼べなくて不便だね」
「G」
「へ?」
「見事なグリーンアイだから」
「あーそうね〜……どうよ、お前がつけてやれば」
「えっ? 俺? 俺つけていいの?!」
「お前が拾ってきたんだから、お前が付けろ」
「えーと、えーと、えーとみどりっ」
「……それはコイツ(承和)と発想が同じ?」
「うるせぇよ」
「えっ? えっ? 何?」
「みどり…緑翠碧…」(書き書き)
「りょく すい へき…?」
「りょく! りょく!可愛い!!」
「……俺コイツのネーミングセンスのなさがかなり心配…」
「不憫だな…」
「え? 何? 何?」 |
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「…あらぁ…? ウチの息子は7人だったかしら…?」
「母さん…;」
「いやん、かわいい〜っ。灯にもこんな頃があったわぁ」
「俺だってあったと思うな」
「珊瑚はねぇ、もっとちっちゃかったわよ〜」
「承和はおねしょばっかして」
「って良いよその話はっ」
「蒼はよく眠る子供だったわぁ、どーして起きないのかと思ったり」
「てか、母さんオカシナ試し方ばっかしてたよね…;」
「千種ったら迷子になってばかりで」
「いや、それ母さんに似たからっ」
「警察のお世話になりまくったのよねぇ」
「それはいいからっ」
「紅…貴方は手がかからな過ぎ」
「ってすぐ甘やかすー」
「貴方達が紅に手を焼かせるからよぅ」
「紅は一番お父さんに似てるわぁ」
「……あ、凄い破壊力あったみたい…」
「紅兄? だいぢょーぶ?」
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「…ほっぺぷにっ、がしたいのにっ」
「母さん…それはいずれできるでしょう…」
「そうね、紅、とっておきスィーツをお取り寄せしておいてv」
「は?」
「珊瑚〜、母さんとケーキ焼きましょうv」
「どしたの母さん…」
「奥様それは私がっ」
「ダメダメ、息子の食事は母の仕事です」
「奥様〜;」
「りょくちゃんにいっぱい食べさせないとv」
「あ、俺も食うしっ」
「承和は買出し」 |
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「いいこしてたよ!!」
りょくちゃん、ひたすら毎日灯の帰宅を待ってる頃。
ぱたぱたと走ってって飛びついて一日の報告です。
勿論お母さんにもメイドさんにも遊んでもらっているけれども。
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抱っこが好き
緊張しまくってがじがじだったので、
りょくは慌てたように灯の膝によじ登って「定位置」とばかりに寛いで
ママに拗ねられるんです。
ゆっくり徐々に懐くとゆー。そんで懐いてからは灯が拗ねる。
「りょくって全然俺のことおにいちゃんって呼んでくんないけどね」
「お前だって俺のことオニイチャンとは呼ばないじゃねーか」
「…そう言えば呼ばないね?」
「のせいで、りょくまで『承和ちゃん』だよ」
「俺なんか『桃ちゃん』だよ、千種は『ちー』だし」
「紅兄くらいだよな、兄だって認識されてんの」
「なんかさー、普通双子とか三つ子とかでも上下って感じないのが普通ぢゃん?」
「あー、確かに」
「なのにウチってばどー言うわけか完全に順位制あるよな?」
「……風呂とか一緒だったけどな?」
「あ、俺りょくと入ってこよーっと、りょく〜」
「…灯…?」
「……つか、あの年ではもう…;」
「…だよね…?」
「…俺たちのせいか?」
一人だけ年離れててべた可愛がりされたせいで、
それが普通だと思っているらしい灯…でした。
りょく、ちょっとはお肉ついてきました。
でも、大事な時期に栄養とってないので、
将来的にも標準より一回り下な感じ。
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一日の報告をして喋り疲れてネムネム |
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灯は自分でざくざく切ります。
無頓着この上ないので文房具ハサミで。
そして日頃洗いっぱ生乾き、寝癖手櫛常習者…;
それを見て育つので、マネを…そしてその後は灯の係り。
後、他の義弟達の服も勝手に選びますが、髪切るのはりょくだけです。
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拾い仔とネムネム
完全に信頼関係が築けた頃。
「幸せそーに寝やがって」
「よっぽどうれしーんだなぁ…弟…」
「お兄ちゃんじゃ不満かよ」
「そーゆんじゃないでしょ」
「面倒見倒し…本性見たり?」
「かもねー」
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学校帰り
「付き合いわりーよ灯ーっ」友人に不興を買いつつ…独り占め時期。
「りょくー、迎えに来た……トモダチ?」
「………おちてた!」
「へ?」
「え?」
「ひろったの! ぼくのだよね?!」
「って…りょく?!」
「だってっだってっ」
「りょく、落ち着いて、ちゃんと話そう、えーと、えー?」
「っ……らいと!」
「へ?」
「ひろったの! だからなまえつけるの!」
「って…りょく?!」
アニキ…ショック受けてますよこれ…;
ちなみに長兄に教わったり、語彙が増えてます。
らいとは灯と逆のコンビネゾン。(元の名前はないです;)
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「…同じことしたいんじゃないの…?」
「あー…カモね〜」
「どーするよ? オニイチャン?」
「どーって、どーって……ねぇ?
りょくって俺のじゃないの?!」
「……灯…;」
「灯ぅ…
灯はオレラの弟だけど、オレラのモンじゃないよな」
「………うん…?」
「りょくはペットでも人形でもない」
「…うん…」
「灯にもトモダチが沢山いるように、
りょくにもソレは必要、解るよな」
「…うん…」
「良かったじゃん、灯いない時も、りょくが寂しくないよ」
そーなんだけどね…。一抹の寂寥感…;
「俺たちの友達は灯も友達だろ、りょくの友達は灯も友達だよ」
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「いい機会だから、灯もりょく離れしろよ」
「えー?」
「ちょっとバイトでもするか?」
「千種、怪しいバイトを紹介するなよ?」
「紅兄、俺を信用しろって〜」
「どうだかな、お前の友人連中かなり怪しいぞ、趣味が」
「えー、ちょっとパンクでロックでファンキーなだけぢゃん。
大体なんだよ、連中兄貴も友達のつもりなのに」
「ちょっとか…」トモダチなのか…;
「そこでため息つくなよー」
パンクでロックでファンキー…どんなだ…;
紅は長兄なので面倒見が良いです、
良いですが物静かであることを良しとします;
落ち着いた和の空間なんかを好むわけですが、
生憎と周囲は騒がしい連中で溢れている模様。
兄sの友人は灯を友人の弟、ではなく友人と位置づけているのですが…
こう…年齢的に遊ばれる側ですねぇ…。
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そんなわけでだんだんと…
広がった人間関係に形成されてくんです色々と…色々とね…;
…捻じ曲げられてゆく、とも言うか…(笑)
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「…ところでらいと、お前幾つ?」
「書類作んないとね〜」
「年、判るか?」
「てきとーでよくね?」
「判ればそれに越したことないだろ、らいと?」
「んーとね……もーすぐ6つ」
「……ありゃ…」
「どーするよりょく?」
「らいとのがおにいちゃんかぁ…」(←こういう不用意な台詞は灯…;)
「………ななつだもん…りょくもーななつだもん!」(それは明らかにないだろう;)
「…て、言ってるけど?」
「りょくのがおにいちゃんだもんっ」じたばた。
「……おにいちゃん…?」(呼んでみる)
「……うわぁい、らいとのがオトナー」
「っ」
「……りょーく…もうしばらくコドモでいろよ、な?」(でもこういうフォローも灯)
「名前ー、らいとでいーの?」
「…いんぢゃね? 本人嫌がってないし」
「……なんちゅーかさ…りょく来た時程じゃねーけど…」
「らいともアレだね、感情の起伏が少ねーっつーか…」
「執着もねーし」
「コドモに何か諦めさしちまう環境ってなヤだね」
「りょくも喋るよーになったしなー」
「まさか文盲とは思わなかった…」
「だね…俺は想像もしたくねぇ」
「…承和泣いたよねー…俺も泣いたけどさ…」
「ろくに話しかけられたことのない子供ーって…」
「いいだろ、今は家にいるんだから」
「間に合わなかったわけじゃない」
「……多分ね…」
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