平和な日々

しんごちゃんは思春期。

無自覚な思春期。

トモダチに、カノジョができた……
もとい、いたらしい、とっくに……ズキ…
ズキ、ズキ、ズキ…

そりゃそうだよなぁ…
全てなんて言ってない。
嘘はなくても、黙ってることは少なくない。
きっと、知ってることの方が少ない。
トモダチ…
シンユウとか、言ってみたって別に
ソレが全てじゃないんだから……



「どしたの、シンゴ」
「王子っ…
 ……王子…はさ、いるよねカノジョ…
 トモダチ、いる?
 シンユウ……」
「シンゴ、友達だろ」
「……そーだけど…そーじゃなくて」
「転校、したんだっけ、友達できない?」
「……できた…けど…」うまく、言えない…
「…あらら…」

『いいよなぁ、主役〜』
『しんごちゃんは特別だから』
『天才かぁ、俺たちとは違うんだよなぁ』

やっかみにも天然で応酬してきた。
だけど感じる違和感。
ねぇ、オレそんなに何が違う?

「ぶつけてもいいかな…」
「よし、やれ、シンゴ、赦す」

少年時代のもやもや。
友達と遊ぶなんてようやく慣れてきたばかり。
当然、コントロールはまだまだまだまだ…。
放ったボールは、標的から大きく反れた。

「ばぁーっかだなぁ、あの娘お前狙いだったのに」
「はぁ?!」
「けどバカだよなぁ、
 自分より整った顔、隣に置いときたいのかねぇ?」
 女ってわかんねー。
「千種、マジでひとり回して」
「オトコを磨け」
「くっそー、むかつく」
「むかつくよなっ、シンゴもっ」
「………」

「…俺の顔、整ってる?」
「どしたのシンゴ、今更なこと」
「……オレってカッコイイかなぁ?」
「……どしたのシンゴ…;」いや、カッコイイってか…;
「……ふーん……」
トクベツなんて詰まんないって知った
トクベツじゃない自分
トクベツじゃないトモダチ
だけど…だけど、だけど、だけどっ
………トクベツに…なりたがってる…

傍にいたい
もっと話したい
もっと近くで
もっと…?

 

今離れるのイヤだな…

だってなんだか終わっちゃいそうな気がするよ…!

ふつう、そうだよな…
カッコ良くて優しいんだもんな…女の子がほっておく訳ない
でも…そうなんだ
ふぅん、誰とでも…か


にしても、いつも誰かと居るんだよな…

「王子はモテる…よね? 言い寄ってくる女の子どうしてんの」
「どしたの、いきなり」
「皆に…優しくするの?」
「……まぁ、オトコだからね〜」
「そっか、それが普通なんだ」

トクベツな事じゃない
でも、じゃあ彼のトクベツって何だろう

「……なぁんかヤだなぁ… まるで恋だよ、それじゃ…」
「王子?」
「いつまでも子供でいてくれりゃぁいいのにサ」
そしたらただ可愛がって可愛がって、
構いつくして庇い倒して…
ぐずぐずに…ダメにしてしまえたのに…ね…
「王子?」
「んー……ねぇ、オレ考えたんだけど」
「ん?」
「シンゴ、いっそユニット組ませんのは?」
「へ?」
「アイドルグループv
 そだ、素人スカウトしてきてさ、歌って踊って。
 シンゴの役の幅も変わってくるしv」
「って王子? お前歌うのか?」
「なんでオレがアイドルやるよ、
 シンゴにはトモダチが必要、
 でもアイツ不器用で解かってないからサ。
 そーだ、クロウ引き込もう、アイツの歌好きなんだ。
 面倒見良いし」
「……シンゴが可愛い?」
「そりゃぁね、今更なコト。
 本当は一人捕まえてきたいのがいるんだけど……
 今回はいーや」くすくすくすくすくす。


ちなみに千種と遭遇して餌付けした後。
後にシンゴと友達だと知って大笑い。

「やっぱり引っぱりこまなくて良かった。
 オレって勘が働くんだよね」

しんごちゃんには仕事からまない関係も必要v

ズルイとか、思ってみても仕方ない。
トモダチとか、思ってんのはコッチダケかも知れない。
オレは楽しくても、嬉しくても、
同じだけ返せてないってんだったら、
どうしようもないぢゃないか。

「イライラしてても演るときゃ演るからなぁ」
「流石だよね」
「…だからかわいそーなんだけどネ…」

「泣かしたって?」
「オレじゃないよ〜、転校先、上手く行ってないのかな」
「何だよ、王子が奨めたから」
「だってかわいそーじゃない、浮いちゃってて」
「って王子が言ったから、フツーのガッコに入れたのに」
「シンゴ、友達いなかったからね〜?」
「…王子、なってやってくれよ」
「オレはとっくにそのつもりだけど」
「………だよなぁ…」

「バカだなシンゴ、友達は友達だろ、
 一方通行なわけないじゃないか」
「王子はそーゆーけどっ」
「だってシンゴだって、
 その内女の子に興味もったら解かるって」
「すぐオトナぶる」
「違うっての」
「どーせオレはコドモですよ、
 可愛げないってゆわれてんのにさっ」
「可愛い可愛い」
「くそーっ」

「要は悔しいんだろ、振り回されて。
 なら振り回してやりゃいい。
 勝手さが赦せないなら、赦さなくていい、
 取っ組み合ったって良いんだよ、シンゴ。
 思ってること伝えりゃいい、
 簡単だよ、もっと自分を出せよ、
 全力で向かってきゃいいのさ。
 相手の自由さに腹を立てるより、
 自分をもっと自由にしてやればイイ。

 なぁシンゴ、コドモの相手をするなら、
 自分もコドモに帰れよ、
 イイ子でいる必要なんかないよ」



「王子、お前は? 大丈夫か?」
「何が〜?」
「フラストレーション溜まらんか?」

いつもダレカを捜してる…
似てるダレカじゃダメだから…
そして、自分がダレカの身代わりにならないように…

「オレは充分、我侭だよ」にっこり。
思春期紆余曲折。
喧嘩にならない喧嘩の果て(千種に伝わってないフラストレーション)
友人達と騒いでるとこに入ってって、
気付いたら越してた背で、
飛びついてみたら意外に小さくて驚いた。

「よーし、そのまま捕まえてろシンゴ」
「バカっ放せよっ」
「何、千種、また何かやったの」
「つかお前も巻き添え食らうぞ」
「せーのっ」

ざっぱーん…

「……だから…言ったろうが」
「ざまぁ見晒せ!!」
「くっそ、ばっきゃろ、水も滴るいい男ってな!」
「うるせんだよ千種、一人でイイ目見てんじゃねぇっ」
「悔しかったら自力で女捕まえて見せろっ」
「…何? また? そういうこと?」
「お前が出てこなきゃ、壁乗り越えたら逃げ切りだったのに」
「……懲りないよね…」


ちょっと離れてる間不安だった。
でも戻ってみたら何も変わってなくて…
水に、流したら意外にすっきり…。

成長期…。
自分の成長を、改めて感じた瞬間かも〜。

でも自分の居場所、変わらない周囲に安心感かなぁ。


変わらなかったし、変えられなかったような気も。

「ったーく、可愛くねぇ」ぶすっ
「別に可愛くなくていいよ」男だし
「あー、もう、可愛くない可愛くない可愛くないっ」
「だから良いってば;」

千種…可愛いと綺麗は大好きだからなぁ…;
お互い自覚ないまま、発展しようがなかった感情かも。

「大体…なんでいるんだよ…」
「…オレ学生だし…」
「ちっ、タイミングよく現れやがって」
「……オレもびしょ濡れなんだけど…」
「こんな格好でデートもできねぇじゃねーかよ」
「………だろうね… 千種、オレがご飯食べに連れてこうか」
「ああ?」
「びしょ濡れのお詫び」
「………お前が詫びるのかよ…」
「行こうよ、久しぶりだもん」
「………何? お前背ぇ伸びた?」
「みたいだね〜、千種のツムジが見えるかも〜」
「なわけあるかっ」

この頃、千種はシンゴの成長をどう思ってたんだろう…

悔しいに決まっているっ。

視線の位置が変わってしまって、ますます弟かわいいvで(笑)

「あーっ、可愛くない」
「だから可愛くなくていいって」
「声も変わりやがって」
「ちーはあんまり変わってないよね〜」
「うるせぇよ」
「大体さぁ、男が可愛くてもしょうがないんだから」
「バカ言うな、ウチの弟を見ろ、
 あの愛らしさが解からんなら莫迦だ」
「あー…灯ねぇ、ちいさいからねぇ…」

灯がガッコ行くよーになったばっかくらいかなぁ…?

「千種、千種、何食べたいー?」
「ぁあ? 何だよニコニコしやがって…」
「そう…かな」
「だよ」
「んー、こういうの久しぶりだから嬉しいのかも〜」
「ふーん」
「千種は嬉しくないの?」
「べっつにー」

「まだ生乾きなんだけど…」
「だねぇ」
「着替えてくか」
「千種んち? 行く行くv」
「…蒼の服なら丁度いいだろ」
「蒼ー?」
「だめならオヤジのがあるし」
「お父さん、お医者さんだっけ」まだ会ったことないね。
「だよ、なんかあんだろ、捜せば」家より病院にいる時間のが長いし。

「って急だなぁ、もう」
「一人くらい増えたって同じだろ、飯食わせてくれ珊瑚〜」
「今日は千種帰らないと思ってたのにさー、一人じゃなくて二人増えた計算だよ」
「珊瑚さまさま、お兄ちゃんにご飯下さい」
「何がお兄ちゃんだよ、さっさと着替えといで」
「なぁ、蒼のシャツとパンツー」
「勝手に捜せ、ありものでいいねー?」
「何でもオッケー、珊瑚の飯ならっ、ほら来いよシンゴ」
「………え? 今の…シンゴだったの…;」

珊瑚…学校行ってるのかなぁ…と不安に…; 多分、ほぼ行ってないと見た…;


「だって面倒臭い〜、疲れるし、人がいっぱいいるしさ、煩いし、鬱陶しいし」勉強なら家で紅とするー。
行ったこともあるんだけど、人ごみで倒れたとか。子供の頃に。

「まぁ、珊瑚がそうしたいならそれでもいいわ」
「そうだね、珊瑚の好きなようにしなさい」
「父さん、母さん;」
「勉強なんか したくなったらすればいいよ」
「父さんっ」
「ただ友達は欲しいだろう?」
「別にー? 紅いるし、蒼いるし、承和と千種は煩いから要らない」下らない喧嘩中らしい。
「なんだとーっ」
「一緒にすんなっ」更に二人も喧嘩中らしい。
「ほら煩いー。灯あっちいこ、お兄ちゃんとあそぼ」
「わーいv」
「あーっキタネェぞっ」
「灯っ外で遊ぼうっ」
「ダメ! 承和と千種は外! 灯何しよっかー」
「んーとね、んーとね」小学生…

「仲良しで嬉しいわ♪」
「そうだね♪」
そしてばかっぷる。

 

 

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